ワビ サビ
-ドラマ
作品データ
原作 Wabi Sabi
作成年 2015年
言語 英語
製作国 シンガポール
上映時間 25分00秒
解説
人生は、愛と絶望を抱擁してこそ、完全に生き抜いたといえる。これはアニーの人生の物語である。彼女は母親と暮らしながら、父親のように、将来はパフォーマンス・アーティストになる夢を持っている。しかしアニーの母親は、夫との関係が壊れてしまっていることもあり、アニーのその夢をこころよく思ってはいない。アニーはアーティストになるために、母親を残して前に進むが、母親はその孤独に耐えることができずにいた。
二人が離れて数年が経ち、やがて母親の体は衰え始め、アニーが実家に戻ってきたときには、半身不随になっていた。アニーは最後のパフォーマンスを通して、母親を回復させようと努め、彼女の気持ちを打ち明けようとするが、あまりにも時が経っていた…。
スタッフ
監督 アンシュル・ティワリ、スミタ・ティワリ
製作 スミタ・ティワリ
撮影 モハメド・シャリズ
編集 アンシュル・ティワリ
脚本 アンシュル・ティワリ、スミタ・ティワリ
キャスト
チャリス・ヴェラ、アン・ロウ
監督からのメッセージ
私はいつも家族の意見、特に母親の意見に、興味関心を抱いていました。私たちはいつも母親に、自分の行動の正当性を示さなければなりませんでした。それが家族であり、自分の善悪を確認する場所として位置付けていました。成長の過程においても、絶えず“服従すること”を忘れてはならないと言われ続けていました。私たちは、人生の試練から抜け出す理由をくれる、自分たちの小さな夢を救うために、侮辱や傷を負いながら生きてきました。私たちの敵は、私たち自身の中に存在していますが、私たちは社会の支配的な意見、すなわち愛する母親、溺愛する父親、自分の試練を支えてくれる家族、によって盲目となっています。彼らは、私たちにとって最愛の存在であると同時に、私たちの弱みでもあります。私たちは、もし、両親が敷いたレールとは別の道に進んだ場合、親に見放されてしまうのではないかといつも恐れています。それ故、自分たちが思い描く人生ではない人生を、歩み続けてしまうのです。
あなたは、自分の天職を強く見いだし、母親のもとを去ろうとする人間をどう思いますか?自己中心的な人間だと思いますか?その人間の務めは何でしょうか。己の魂に従い、芸術の道を生きることでしょうか。それとも、母親と家族のために生きることでしょうか。そして、純粋で、子供の本心を理解するのが難しい年老いた母親についてはどう思うでしょうか。彼女は、彼女の視野を妨げる自己中心的な自我を持つが故に、自身の人生経験を越えたところにある景色を見ることができないのです。彼女は、自身の若き日々と引き換えに家族と子供を育て上げているが故に、彼女の経験には、子供はその経験から恩恵を受けるべきという価値観が埋め込まれているのです。
これらの壊れた関係は、私たちの魂の成長による直接的なアンチテーゼなのでしょうか。
人生そのものについてはどうでしょうか?私たちはみんな、幸せや永遠の平和というものを追い求めているのではないでしょうか。しかし、もし自分の夢が満たされずにいたら、どうやってその幸せを手にすることができるでしょうか。私たちは、愛と喪失とともに苦悩と喜びに満ちた人生であると知りながらも、その人生を歩み続けるべきなのでしょうか。私は、「Wabi Sabi」の監督として、これらの質問を私自身に問いかけています。





監督 アンシュル・ティワリ
アンシュル・ティワリは、映画監督、映画編集者、撮影カメラマンそして脚本家でもある。また、本を集め、読書を愛し、世界を旅することにも情熱を注いでいる。アンシュルは1982年にインドに生まれ、文学、音楽、演劇、映画に囲まれて育だった。彼の映画への情熱は、12歳の時に「Guide」(IMDb)というR K Narayanの物語を描いた映画を初めて観た時にまで遡る。
アンシュルは映画製作の旅を続け、2011年にシンガポールに来星。彼は、シンガポールの「Our Better World」という団体のためにドキュメンタリーシリーズを製作したことをきっかけに、物語作家、映画監督として生きる道を見出す。そして2015年、アンシュルは2作目となる短編映画「Wabi Sabi」を完成。アンシュルは脚本兼監督を担当し、彼の生涯のクリエイティブパートナーであるデバスミタ・ダスグプタとともに作品を仕上げた。現在この作品は、各地の映画祭で上映されており、アンシュルは、自身初の長編映画の製作に取り掛かっている。
